ムンバイのインド映画は、ムンバイの旧称ボンベイとアメリカ映画のハリウッドを合わせ、「ボリウッド」と呼ばれています。
インド人は映画が大好き。歌って踊れる華やかな世界を想像し、わたしは興味津々でした。
でもなかなか機会がなく、この映画でインド映画を体験できる!と思ったのです。
数々のアカデミー賞を受賞したこの作品、実はイギリス映画なんです。納得できない内容もあったようで、インドでは人気なかったそうです。
日本人があまり知らない、インドのスラム、カーストと呼ばれる階級、宗教、をおおまかに知る事が出来ます。
子役が無名のスラムの子供なのも、興味深いですが、何より主人公ジャマールの一発逆転ゲームが、ドキドキ楽しめます。
どんどん、映画に引き込まれてしまいました。
2020年4月29日、インドの俳優、イルファン・カーン氏(53)がムンバイで亡くなる
先日このニュースが入ってきたので、過去に見たこの映画の感想を書いてみたくなりました。
イルファン・カーン氏は “ジュラシックワールド” でも印象的な役を演じておられます。インドらしい濃い顔立ちで、誠実で温かい役柄が似合う、好きな俳優さんです。ご冥福をお祈りします。
目次
「スラムドッグ$ミリオネア」あらすじ
「教養のないスラムドッグが、こんなにも勝ち進めるわけがない、答えを知っていたに違いない」
スラムドッグとは、造語 “スラム街の負け犬” ひどい言葉です。
過去の経験から、答えを導き出すことができた主人公ジャマール。クイズミリオネアは、彼の人生を変えることができるでしょうか?
ジャマール・サリーム・ラティカ
ヒンドゥー教とイスラム教、ラーマとアラーを信じる者の争いで母を殺され、ジャマールは兄サリームと、孤児として生きていく事になります。
そこで、少女ラティカと出会います。舞台はムンバイ最大規模のスラム、ダラヴィ。
インド映画の大スター、アミターブ・バッチャンの人気ぶり(というか、ほとんど神)のシーンがあります。
子役の子たちの笑顔と、力いっぱい走り回る姿がとてもかわいく、貧困を忘れてしまうほどです。
親切そうな人は売人だった
親切に声をかけてくれた人は、子供を使ってひともうけしようとする悪いヤツでした。
子供達に歌を歌わせ、上手だった子を呼び出し、目を・・。その方が物乞いとしての稼(かせ)ぎが良いからって、なんて恐ろしい。
ジャマールとサリームは逃げ出し、自分達の力で商売(サギ、盗み)をしながら成長します。ラティカを連れ出す事は、できませんでした。
兄との別れ・ラティカに会いたい
ジャマールとサリームは、売春宿に売られるラティカを助け、3人で逃げます。しかし、サリームはジャマールを裏切り、1人でラティカを連れ去るんです。
ひどいよぉ
ラティカを忘れられないジャマール。
働きながら、ラティカがきっとどこかで見ているであろう “クイズ$ミリオネア” に出ようと決心します。
ラティカは、いつもクイズ$ミリオネアみてたんだね
ジャマールが育った回想シーンの中から、次々と答えが出てきます。ほんとに?と思うけれど、運命のチャンスってあるのかもしれません。
よしっ、いいぞ
今までの苦労と、ラティカに会いたい強い気持ちが、引き起こしたラッキーです。
うーん、ラッキーって、強く神聖です。
クイズ$ミリオネア・ファイナルアンサー
ジャマールは快進撃をとげ、あと1問というところまで勝ち進んでいます。
が、テレビ局を出たところで、警察に連行されます。
「教養のないスラムドッグが、こんなにも勝ち進めるわけがない、答えを知っていたに違いない」
司会者クマールが、通報したのです。
拷問が始まります。クマールって、権力ありすぎですよね。こんな事、許されますか?
全部、ジャマールが体験した答えなのに
警察(イルファン・カーン)は真相を知り、彼に最後の1問のチャンスを戻します。気に入らないクマール。
でも答えがわからない。最後の最後に、ライフラインを使います。
テレフォン! ドキドキの展開です。
ドキドキドキドキ
ジャマールがかけた相手は、サリーム。電話に出たのは‥‥ラティカ。でも答えはわからず。2人はテレビを見ていました。
えーい。と、直感で答えた答えは・・・・なんと、正解!!
すごい、すごいよ
オオーー 盛り上がる番組。テレビの前の人たち。
悪者の手下になっていたサリームは、ラティカを逃がします。なんとしても、弟と会わせなければ。「幸せになれ」と。
わたしのあらすじは、ここまでにしましょう。インド映画はハッピーエンド。
「スラムドッグ$ミリオネア」監督・キャストなど
2008年公開
監督・・・ダニー・ボイル
脚本・・・サイモン・ビューフォイ
原作・・・ヴィカス・スワラップ
キャスト
ジャマール・マリク・・・・デヴ・パテル
幼少期・・・・アーユシュ・マヘーシュ・ケーデカール
サリーム・マリク・・・・マドゥル・ミッタル
幼少期・・・・アズハルッディン・モハンマド・イスマイル
ラティカ・・・・フリーダ・ピント
幼少期・・・・ルビーナ・アリ
プレーム・クマール・・・・アニル・カプール
警部・・・・イルファン・カーン
ドン・ジャヴェド・・・・マヘーシュ・マーンジュレーカル
第81回アカデミー賞 作品賞、監督賞、歌曲賞、作曲賞、編集賞、録音賞、撮影賞、脚色賞受賞
「スラムドッグ$ミリオネア」ネタバレ・感想
インド人は映画が大好き。
映画には、喜怒哀楽が豊富に盛り込まれ、すべての映画はハッピーエンド
しかもチケット代は、数百円だとか(なんてリーズナブル)
映画への思い入れは、日本とずいぶん違うんですね。
しかーし!
この作品はイギリス映画
インドでは不評だったようです。でも、私は楽しめました。インドをよく知らないから・・なのかな。
ストーリーの運びは軽快。主人公の過去と、出演中のクイズの場面が行ったり来たり。
どんどん引き込まれます。
インドの貧富の差がはっきり描かれてます
インドのスラムの乾いた色彩が、なんとも独特できれい。ムンバイは都会なのに、こんなスラム街もあるって驚きです。
スマートな生活のとなりにあるこんな世界が、インドの現実と言いたかった映画だと思います。
インドでは、スラム育ちのジャマールがきれいな英語をしゃべっていることが、かなり不自然なのだとか。
それは日本人、なかなかわからないよ
他の国でも多分わからないんじゃないかな。正しいインドじゃないインドを描いた映画なので、インドの人は納得できないんだと思います。
賛否はあってもハッピーエンドは心地良く(兄、サリームはハッピーじゃないけど)、正義は勝つ!は、やっぱり見て楽しい。
ラストシーンにはダンス、みんなでダンス。のシーンもあります。
唐突だけれど、楽しくなれます。ジャマール、ラティカ、良かった、良かったぁと言いたくなります。
うんうん
アメリカや、ヨーロッパ、日本が触れてはいけないような気がしていた、インドという国を感じられる映画です。
そして、運命をひっくり返し、幸運をつかむことは出来る。
そのうれしさって、きっと世界共通なんですよね。
独特の空気感ある作品です。何年も経って、また見たいな(と、かれこれ13年たってました)。
こんな人におすすめ
日本映画、アメリカ映画に、少し飽きてきたかなという人。
わかりやすい筋書きで、わくわくしたい人。
インドに興味がある人。といいたいけど、これはインドの方から「ちがうから」と言われそう。
でも、スラム街のたくましく生きる子供を応援したい人。にも見てほしいです。
まとめ
何より主人公ジャマールの一発逆転ゲームを楽しめます。
いい人、悪い人。がはっきりしていて、わかりやすい。見たあとに気持ちがスッキリします。
クイズ進行と一緒に、ドキドキドキドキ。
イギリス映画なので、インド映画ボリウッドとは全くちがうもののようですが、ダンスもあり、ハッピーエンドがいい。
子供時代から、少年、思春期だったジャマールは大人になり、今はどうしてるかな。
きっと、ラティカと幸せに暮らしてるに違いない。と、思えます。
一風変わった目線のこの映画、なかなかおすすめの作品です。
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